しあわせな冬の日の朝に
「…ん…。」榛奈は、肌寒さで目が覚めた。
時計を見ると、まだ午前5時。
冬の朝の寒さに、ぶるっとひとつ身震いする。
まだ眠っていられたはずだったのに…。
”もう…またふとん独り占めしてる…。”
隣で眠っている恋人の隆志を、恨めしそうに見る。
隆志は、とても寝相が悪い。
今日のように、ふとんを取られる事は一度やニ度のことじゃない。
「…えい!」力を込めて、ふとんを取り返す。
呆れたことに、かなり力を入れて勢いよくふとんを引っ張ったのに、
彼は起きる気配さえ見せない。
ふとんを直し、改めて寝なおそうと、ごそごそと彼の隣に潜りこむ。
隣に眠る隆志の寝顔は、起きている時より少し幼く見える。
…こんなことを思っているなんて知ったら、隆志はきっと怒るだろうけれど。
出会いは、桜咲く春の頃だった。
新任教師と、その初めての教え子として。
彼が高校を卒業してしばらく経ってから、再会した。
在学中は手のつけられない問題児だった隆志が、就職して
きちんと働いていることを知り、肩の荷が下りたと、安堵した。
その彼と、今、こうして一緒に朝を迎える関係になるなんて、
あの頃の自分は、想像もしていなかった…。
最初は戸惑いもあった。
でも…隣で眠る、まだほんの少し、あどけなさを残す彼に
どうしようもないほど惹かれていった…。
”もし、彼がいなくなったら…私は…。”
こんなにも、誰かを大切に思う気持ちを、榛奈は今まで知らなかった。
…彼に会うまでは。
「ん…榛奈サン…?今、何時…?」
隆志が目を覚まし、隣の榛奈が起きているのに気付いた。
「…まだ、6時前よ。…もう少し眠れるわ。」
「うん…。」
そしてふたりは、体を寄せあって眠る。
1人で眠ると寒い冬も、ふたりで迎えるならば、暖かいものだと、榛奈は知った。
それを教えてくれたのは、隣に眠る彼だった…。
【End.】
あとがき
やっちゃいました。男の方が年下の話…。
しかも、女教師と男子生徒!(二人の関係が始まったのは卒業後と言う設定ですが。)
一度書いてみたかったシチュエーションでした…。
この短編、もしかしたら、そのうち長編として新たに書き下ろすかもしれません。
長編にしてあーんなことやこーんなこと…(妄想中…笑。)
今抱えてる続き物が終わってからになると思いますが…。
気長に待ってやってください。
それではまた、次回作で…。