エピローグ



あの日から二週間が過ぎた。長谷と宮城の二人は退学処分となった。
今までにも数多くの問題を起こし、
学校側も持て余していた矢先の今回の騒動だったので、
学校側の処分は驚く程早かった…。

淳はあれから、桜と時間を合わせて一緒に登下校するようにした。
念を入れて脅しておいたので、ないだろうとは思うが、
あの二人の報復や、淳の取り巻きの桜への嫌がらせから桜を守る為にである。
桜は淳の手を煩わせ、負担をかけるのを嫌がり断ったのだが、
淳は頑として一歩も譲らず、桜が根負けしたのだった。

…もちろんあの事件の後で、淳は、自分への気遣いからとは言え、
嫌がらせのことを黙って、ほかの風紀委員にまでかたく口止めをしていた桜に、
しっかり苦情(?)を言うことも忘れなかった。
淳は、自分の知らない所で、桜がこれ以上危ない目に遭うなんて許せなかった。
過度の甘えもどうかと思うが、少しは自分を頼ってほしい。
気が強く、大抵のことは自分で解決してしまう桜だが、
その桜にだって、今回のように、一人では解決できない事だってあるのだ。
そんな時は、相談くらいして欲しい。
そう言うと、桜はそれ以上何も言わず、黙って頷いた。
…今回の一件では、さすがの桜も、思うところがあったらしい…。

あの日から、桜が少しおとなしくなったように淳は感じていた。
あまり元気があり過ぎるのも困りものだが、
おとなしくなったらなったで、桜らしくないなどと物足りなく思うのだから、
我ながら我が儘だなと思うのだが…。

「…あ!!」
突然桜が何かを見つけて声を上げた。
何事かと思い、淳がその方向を見ると、
N学園の生徒が数人、コンビニの前で座り込んで煙草を吸っていた。
すぐに注意しに行くのかと思ったが…。
桜はためらっているようだった。
淳は桜の肩を叩いた。
「…先輩?」
「手に負えなさそうだったら加勢するから。行って来いよ!」
淳は桜の背中をトン、と押した。
「…うん!」
桜は嬉しそうに笑って駆け出した。その背中は妙に楽しそうに見えた…。
「…やれやれ。」
”やっぱり、桜はこうでなくちゃな…。”

結局の所、淳は元気なじゃじゃ馬の桜が好きなのだった。
たまに暴れ過ぎて止めるのに一苦労する事もあるが…。
「こらぁ!あんたたち、煙草なんて吸っていいと思ってるの!?何年何組の生徒!?」
「…うわ!やばい!…風紀委員長だ!」
「待ちなさいよっ!」
逃げる生徒たちを、桜が追いかけて行く。
「……。」淳は笑いをかみ殺した。
”あーあ、無駄な抵抗して。桜から逃げきるなんて無理なのにな。”

…淳のじゃじゃ馬馴らしの日々は、どうやらまだまだ当分続きそうである…。

【End.】



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