エピローグ



真由との再会を果たしてから、三か月が過ぎた。
俺は長い長い話し合いを経て、親父と和解した。
…和解というのも変か。別に今まで争っていた訳ではないのだから。
無関心でいることをやめて、話し合ってみた結果…。
そう悪くもない人だと言うことに、気づいた。
親父の方も、どう俺に接していいか、分からなかっただけらしい。
意地と、ちょっとした気持ちの行き違いが積み重なって
…素直になれなかっただけだったのだ。

俺は学校にも真面目に出るようになった。
遊び相手の女達とも、全部手を切った。(少しモメたけれど。)
周りの人間は俺の変化に戸惑い、未だに不信感を持っているらしいが、
別に気にはしてない。
たった一人でも、俺の事を信じて、好きでいてくれる相手がいるから…。
自分を愛してくれる人がいる。それだけで、人は驚くほど強くなれる。
今までの俺は、一人でも平気だと、強がって生きて来た。
だけど、人は誰も愛さずに、誰からも愛されずに
…一人きりで生きてはいけないんだ。
そのことを真由が気付かせてくれた…。



「…ねぇ、和くん。」
「うん?」
抱き合った後、ベッドで並んで寝そべっていた時、
真由が思い出したように聞いて来た。
「…ずっと疑問に思ってたんだけど、この猫、名前、何て言うの?」
「…!」俺は言葉に詰まった。
「和くん?」
「……笑うなよ?」俺は、真由に念を押した。
「…?」真由は、怪訝な顔をしながらも、頷いた。
俺は真由の耳元で小声で囁いた。
真由は俺を見て…一瞬の間の後、笑い出した。
「…笑うなって言っただろ!」
「…ご…ごめんね……でも…だってぇ……。」
真由は笑い過ぎて、涙が出る程笑っている。
「…だから言うのいやだったんだ…。」
俺はシーツを体に巻きつけたままの姿で、笑いつづける真由を抱き寄せ
唇を塞いで笑うのをやめさせた。
「んっ…か、和くん…っ!?」

真由は、和也が猫に自分の名前をつけていたことを
この時初めて知ったのだ。
『…おまえの名前と一緒。』和也はさっき、真由にそう告げたのだ…。


…俺の中で、泣き顔の記憶しか残っていなかった初恋の相手は、
今、俺の隣で、楽しそうに、そして…幸せそうに笑っている…。

【End.】





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