8 True love



一年後…。

ドアがノックされた。
「…どうぞ。」
「…由菜!!」
顔を見せたのは、大学時代からの友人達だった。
「由菜、キレイ!」
「おめでとう、由菜。」
「ありがとう、みんな…。」由菜は少しはにかんだように微笑んだ。

ここはホテルの敷地内にあるチャペルの控室。
そして、由菜は純白のウエディングドレスに身を包んで、式の始まるのを待っていた。
再び、ドアがノックされる。
入って来たのは…。
「…由菜。」こちらも、真っ白なタキシードを着た、貴司だった。
「貴司。」
友人たちは気を利かせて控室から出て行った。
「…由菜、綺麗だよ。」
由菜の瞳が潤む。
今日のこの日にたどり着くまで、どれほど長かった事か…。
「泣くなよ…。花嫁が式が始まる前から泣いてたら…誤解されるぞ。
…結婚したくないんじゃないかって。」
「貴司ってば…。」涙を溜めた目で、それでも由菜が微笑んだ。
貴司はハンカチで由菜の涙を優しく拭った。
「そろそろ、時間だよ。」
「うん。…あ、貴司、ブートニア、少し曲がってる。」
由菜は貴司の胸ポケットの花を直した。
小さな、青と白の花だけで作られた、小さな花束。
そしてそれは、由菜のブーケと揃いのものだった。
ブーケを作る時、迷っていた由菜に、貴司はある花を薦めた。
小さくて、少し地味かも知れないが、二人にとっては、とても思い出深い花を。
…そう、二人の思い出の花、それは忘れな草だった。
青と白の小さく可憐な花を束ねたブーケ。
二人にとって今日と言う日に、これほど相応しい花はなかった…。
そして、由菜にとってのサムシングブルーの役目も、この花は担っていた。
「…行こうか。」
「ええ。」
貴司の差し出した手に、由菜は自分の手をあずけた。



…忘れな草の花言葉を、二人は生涯忘れることはないだろう。
『私を忘れないで』そして、もう一つの花言葉は…『真実の愛』…。

【End.】




HOME   NOVEL   BACK   NEXT